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きみはある日突然動かなくなった。
触れても押しても、何をしても反応がなくて、ぼくは酷い焦燥感に駆られた。長い付き合いの相棒がそうなったことには喪失感すら覚えた。
なんだかんだ言って10年以上の付き合いだったから「なんとかロス」みたいな症状が現れることも懸念していた……もっとも、これは杞憂だったけど。
いずれ慣れる。そう思って、ぼくはきみのいなくなった生活を受け入れようとしていた。
けど、どうしても踏ん切りがつかなくて、きみと正式にさよならすることだけは出来なかったんだ。
大丈夫、きみのいない生活にはいずれ慣れる……そんなことを何度も何度も心の中で思っていたくせに、本心では慣れるつもりなんてなかったのかもね。

奇跡が起こったのは1ヶ月ほど経った時だった。
ぼくは未練がましくきみに触れた。もう動かなくなったはずのきみに……。
この時の感動は未だに忘れられない。
カチッ、と音がして、きみが動いたんだ!
ぼくはそれが嬉しくって、何度も何度もきみに触れ、動くことを——生き返ったことを確認した。

間違いない、生きてる!

たまに反応がなくなるから、まるで動かなくなった過去なんてなかったように、とはいかないけど、間違いなく生きてる!
ぼくは歓喜とともにこう呟いた。

「おかえり、3○SのRボタン」

9/11/2024, 8:45:40 AM