かのこ

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『仲間』2023.12.10


 仲間というテーマで曲を作ることになった。なにせ作曲や作詞なんてこのかたやったことない。楽譜を読んだり歌はできても楽器ができないからどうしようもない。
 どうしたものかと友人に相談すると、彼がギターを教えてくれることになった。
 彼の持つギターを借りて構えてみる。すると彼は、
「いろんな意味で様になりますね」
 と笑いながら言った。どういう意味かと言いたくなったがせっかく教えてくれるのだから、黙っておくことにした。
 しかしながら、ギターは簡単なものだった。初心者が躓くというFコードもすぐにできるようになったので、友人はすこしつまらなさそうだった。
 楽器ができるようになったら、次が曲作りだ。これは友人だけでなく他の人にもアドバイスをもらうようにした。
 いろんな人に助けてもらうなかで、自分のなかで歌詞が出来つつある。
 それは陳腐でありきたりなものでしかないが、案外、そういうものの方が変に気取ってみるよりはいいのかもしれない。
 彼らに教わったアドバイスの書かれたノートを読み返して、少しずつ組み立ていく。
 ときおり、進捗はどうだ、困っていることはないか、と彼らは声をかけてくれるので、それらには素直に甘えることにしている。
 そして出来上がった曲というのが、バラード系でありつつも助けてくれる仲間に感謝するという前向きなものだ。
 ソロパートでは、いろいろ世話を焼いてくれた友人に任せることにした。
 彼は迷う間もなく快諾してくれたので、有り難いことである。
 仲間とは、困ったときに傍にいて助けてくれるもの。
 そういう飾り気のない言葉が、案外、真を衝いているものなのだ。

12/10/2023, 1:42:13 PM