300字小説
夢見た世界
企画を出したとき、何故、お前の過去の繕いに金と労力を払わなければならないのだと笑われた。
だから、それらしい目的と計画を立て、地道に人々が夢中になりそうな夢を集めた。宇宙、異世界、リゾート地、故郷。それらに体験型VRをプラスし、好きな時に何時でも見られる夢の機械、ドリームマシンと名付け、販売した。そして、更なるバージョンアップの為と、体験者からの要望を集め、それを密かに自分のマシンに編集し……。
生命維持装置を着け、ベッドに横たわりドリームマシンを起動する。目を閉じれば……。
『ただいま!』
『おかえりなさい』
『帰ってきたか』
憧れていた暖かな子供時代。私はようやく私の思い焦がれた夢をずっと見続ける。
お題「夢を見てたい」
1/13/2024, 11:39:03 AM