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唐突に降り始めて、急激に勢いを増した雨が私たちを世界の中に閉じ込める。
「濡れていないか」
「俺は大丈夫です。鯉登さんは?」
「私も大丈夫だ」
身長差を埋めるように見上げられた瞳の奥で、碧がほのかに光を湛えた。
その瞳に映るのは、私だけ。
この世界は、今、ふたりきり。
鼓動が速まる。
溢れだしそうな言葉に、この感情の名前を悟った。

ゴールデンカムイより鯉月です。

ふたり

8/30/2025, 2:28:00 PM