空に溶ける
どうして生きてるんだと思う?
大きな石に両腕をのせてぼんやりしていた私の前で、ぽつりと友達がつぶやいた。
めいっぱいに咲く白い花の上でせわしく飛び回るハチに夢中になっていた私は、ぅうん?とあいまいな音を返した。
人生なんて辛いことばっかりだよ。
生きてたって、あたしなんかひとりぼっちなんだ。
声が震えている。私はそっと手を伸ばしかけて、さまよって、眉を下げた。
本当に?
はっと顔を上げる。目の前には泣きたくなるほど哀しそうに、あたしの友達が微笑んでいた。
辛いことばっかでも。死ぬときに思い出したのは、一緒に笑ったことだったよ。
ちょっぴりおどけた笑顔になって、半透明の友達はあたしの頭をなでた。
すかんと晴れた秋空に、あたしの友達は溶けていった。
5/21/2025, 4:54:09 AM