待ち合わせ場所に着くと君が既にいた。
駅前広場に設置された大きなクリスマスツリーの陰に隠れるように佇む君は、チャコールグレーのコートのポケットに手を突っ込んで、ぼんやりとどこか遠くを見ている。
強烈なビル風によって乱れた髪を手櫛で整えて、足早に君の元へと向かう。
会話もそこそこに手を引かれてツリーの裏側、隠れるように吊り下げられたヤドリギの下で。
ちゅう、と君の唇が控えめに頰に触れた。
耳まで真っ赤にして照れくさそうに微笑む君。
ほっぺはノーカンだよと私は笑い、無防備な君の唇を奪った。
テーマ「イブの夜」
12/25/2023, 8:00:47 AM