満月って、次の日からは欠けていくんだよね。余命幾ばくもないのを知っているあの子に、なんと言えばいいのかとわたしは迷っている。あ、でもそうか、とあの子は頷く。欠けているんじゃなくて、欠けてるように見えるだけか。そう言って笑う。あの子がいなくなってから、満月の夜はそのことを思い出す。思い出すと、わたしの欠けていたものが埋まる気がした。
9/10/2022, 11:18:51 PM