いつも君は「ここではないどこかへいきたい」と言っていたね。今までそんなことを言う理由が分からなかった
けどやっとわかった。君はもう限界だったんだ。
ここで生きる位なら自分から消えればいいんだと考えたんだろう。でも、私はさ君と一緒にここで生きて笑って大人になりたかったんだよ。
「もう嫌なんだ。どこか誰も自分なんて人間を知らない場所へ行きたい。」
あの日の苦しみを吐露するような声が頭をよぎる。
「だったら、私も連れて行ってよ。君がいないなんて私は嫌だ。」
君の墓の目の前で呟く。せめて君がここではないどこかで幸せだと思えていたらいいのだけど。
そう考えながら私は踵を返した。
『ここではないどこか』
6/28/2023, 7:56:33 AM