Open App


2階から外に出る。
朝は普段より1時間前に起きて雪かきをする。
歩道と車道には高い塔ができる。
ただただ白い世界。
息ができないほどの寒さ。

田舎の雰囲気、人、空気、習わし。
なにもかもが嫌で飛び出した18才。


大学1年、渋谷に新宿、池袋…
何処を歩いてもキラキラと輝いていて、
ときめき、
魔法にかかったようだった。


絶対に田舎には戻らない。
私の居場所は「東京」にしかない。


田舎を離れて、10年。
渋谷のキラキラはもうときめかなくなってしまった。
大きなデパートやお洒落なカフェ。
当たり前になりつつ世界。

流行の移り変わりも横目で流し、
簡単に日常でワクワクすることは殆ない。

冬の実家は一番嫌いだった。
ただでさえ何も無いのに
雪で街を覆って一面の白。


今となっては、雪で覆われた街を見に行きたいと思う。
田舎があるというのも悪くない。

見渡す限りの銀世界。
しーーんと静まり返った真冬の空。
何もせずに、ぼぉーっとできるのがよい。
何もなくていいじゃないか。
18の頃に見ていた、キラキラした世界に負けない
美しくさが目に前に広がっていた。



「冬になると」

11/17/2023, 1:05:47 PM