冬至。

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跳ね上がる飛沫。
一際大きく跳ねておれの元へ届いた。
とばっちりで洋服が濡れる。
「ねぇ…泳ぐにはまだ早いんじゃない?」
洋服を着たままプールに浸かっている彼に責めるように話し掛けた。
「うん?そこに水があるなら飛び込むしかないっしょ」
濡れた髪をかきあげながらキラキラする笑顔で振り返る。
眩し過ぎてクラクラする。
その濡れた髪からポタポタと雫が落ちる。
「きみは魚かよ」
「なんだそれ!」
楽しそうに笑ってまた水中に消えた。
目の前で盛大に水飛沫が上がったと思ったらさっきまで少し先にいた彼の顔がおれの前に現れた。
「ねぇ、お前は泳がないの?」
「誰が泳ぐかよ。大体誰のせいで…」
文句を言ってる途中で腕を力いっぱい引かれて水の中に落ちる。
おいお前ふざけんな。
勢いよく浮上してふざけた顔をした彼を睨みつける。
それも全く効果ないみたいで相も変わらずにこにこ笑ってこっちを見てくる。
「濡れちゃったねー」
そのにやけた顔やめろ。
「誰のせいで!!」
怒鳴りつけてやろうと思ったのにおれの顔に伸びてくる手に驚いて身構えるとそっと額の髪を整えられた。
「もう濡れちゃったし一緒に遊ぼうよ」
ねっ!なんて優しく微笑みながら髪をかき上げる。
その顔にはきれいな流線形を辿ってまた雫が落ちた。
何も答えずに見つめていると、そのまま手を引かれて奥の方へ向かう。
繋がれたその手のその先の背中を見つめた。

そもそもお前のとばっちりで校則違反の罰で2人でプール掃除することになったはずなんだけど?
なんでそんなに楽しそうに水遊びなんてしてんだよ。
なんて思っても結局付き合ってしまう自分に嫌気が差しながら、目の前の彼の手を思いっきり引っ張って水中に沈めてあげた。
たまには反省するといい。

突然の反撃にびっくりして勢いよく水中から浮上した彼は相も変わらず頭から水を滴らせてキラキラと眩しく笑うのだった。
浮かびくる感情に気付かないふりをする。
多分きっとこれはそう…。
こぼれ落ちる感情をそっと隠して今日も彼の側にいる。


(雫)

4/22/2026, 10:41:45 AM