「ねー早く行こうよー」
桜色の髪をした青年が、ジェラート片手に苦言を落とす
目の前には、同年代の学生が二人。
よもぎの様な髪色の青年と、まんじゅうの様な髪色の少女が、バチバチと雷を浮かべて睨み合っていた。
「あんたがスペルミスさえしなければ、赤点から逃げられたのに!」
「うるっせ!お前が『お互いに得意なやつカンニングしようよー』なんて、誘わなければこうなってなかっただろうが!」
「いやー二人とも勉強ちゃーんとしてれば、よかったんじゃーないのー」
「正論ぶつけないでもらっていいかな、学年三位。いいわよね、あんたは頭よくってさー!」
「あー火にあぶらを注いじゃったかー」
緊張感なんてゴミ箱に捨てたかの様に、ぺろぺろとジェラートを食べる。
「あーあ、またこうなっちゃったか。」
青年がジェラートを食べ終わり、コーンを床に落とす。
「どうしたんだ?」
彼の言葉など聞かず、それを足でぐしゃりと踏み潰した。
「な、なによ。嫌味言って傷ついたの?」
「んーちがうよー。ただ…」
ぐしゃりと、噛みちぎられる音が聞こえる。
「君たちが、化物に殺される未来を、変えられなかったなーって。」
不思議な石をポケットから取り出し、心臓の位置に構える。
「じゃあね。また会おう」
ねっとりと、もう飽きたかの様な、同じものを食べ続けたかの様な。
そんな声をこの次元に残し、彼の姿が消え去った。
お題『秋風』×『ねっとり』
10/22/2025, 11:39:47 AM