ペリドット

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逆さま

私には姉が1人いる。
姉は生まれた時、心臓病が見つかり手術は無事成功。
しかし退院間近で院内感染が流行り
あと少し発見が遅れたら死んでいたらしい。
同室だった少女の1人は帰らぬ人となったそうだ。

退院から数年後、何事もなく姉はすくすくと成長し
続けた。しかし両親は大層心配し、2つ年下の妹である私は
幼少期からずっとおざなりな扱いだった。

川の字で寝る狭いアパートの寝室。
父、母、姉、そして私。
この並びはずっと変わらない。

5歳の頃それがとても悲しく、夜中に泣きながら訴えた。

いつも端っこでひとりぼっち。寂しい…と。

私にとっては精一杯の勇気だった。
しかし母はなだめるだけで状況は変わることはなかった。
おかげで諦めを早くに学んでしまい、少し冷めた性格に。

時は流れ、姉も私も2年差で結婚。
早く子供を産めとばかりに周りからよく電話が来た。
夫婦だけの時間も楽しみたいからと適当にかわしていたが
まさかは突然やってきた。
4年間不妊治療に励む姉よりも先に私に子供が出来たのだ。

安定期に入りサプライズで妊娠を両親に告げた。
すると通夜のように鎮まりかえる2人。
言葉はなくともいつまでもある人の存在を気にかける雰囲気を察した。

わかった…。
私にはひとりで十分だ。
寂しい思いも、逆さまの愛情もこの子には絶対しない。

12/7/2023, 2:21:28 AM