冬山210

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『胸の鼓動』

授業中、先生に指されるのが苦手だ。
番号順で自分より前の人たちが次々と指されていく。
それを見ている僕の心臓は大きな音を立てる。

どきどき、なんて可愛いもんじゃない。
どっくん!どっくん!
或いは、
ばっくん!ばっくん!

本当に心臓が飛び出してしまうのではないかと思うくらい大きな音が、僕の身体の中で響くんだ。この胸の鼓動が私以外には聞こえていないだなんて、信じられない。

気づけばシャーペンを持つ手が震えている。
生徒を当てていく先生の声が怖くて堪らない。


このようにして私の寿命は削られていくのでした。
胸の鼓動、五月蝿いね。

9/9/2022, 9:24:46 AM