霜月 朔(創作)

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絡まってしまった糸。
綺麗に巻いていた筈なのに、
なのに、気が付けば、
複雑に絡まりあってた。

そう。この絡み合う糸は、
まるで貴方と私の様に、
解こうとすれば、
かえって、絡み合って、
解けなくて。

貴方を傷付ける心算なんか、
無かった。
謝れば、逆に怒らせ、
沈黙を貫けば、
貴方は一人離れていく。

絡み合う糸を、
元に戻したくて。
私は、結び目に爪を食い込ませ、
解そうと、力を掛ける。

突然。
ぷつり、と、
糸が切れる音がした。

切れてしまうくらいなら、
絡まったままの方が、
良かった。
切れてしまったら、
もう二度と、
綺麗に繫がることは、
ないんだから。

そう。
貴方と私は、
離れ離れになる運命。
そう言われたみたいで、
胸が、鋭く痛む。

引き合う糸。
絡まり合う糸。
切れてしまった糸。
解れた不均一な断面。
それが、私の未練みたいで、
情けなくなる。

もう。
私と貴方が紡ぐ物語の糸は、
終わりなんだ、と、
受け入れられたら、
楽なのに、ね。

6/19/2025, 6:30:45 AM