ちりり、と涼やかな音
目をやった窓辺、よく手入れされた籠の中
くるくると風見鶏が回っていた
風が向きを変える度
その強さを変える度
風見鶏は不規則に回って
その嘴先の鈴を鳴らした
ああ、と隣が笑う気配がした
良いでしょう、と笑う気配がした
鈍く光る丸い金色
その穴から覗く黄がかった透明
これなら絶対いなくならないでしょう、と
哀しい安心を滲ませて
‹鳥かご›
君と、綺麗な石を集めるのが好きだった
木漏れ日みたいな燦爛を
水中みたいな眩惑を
甘味みたいな鮮烈を
帰り道みたいな偏光を
君と集めるのが好きだった
君もそうだと思ってた
ある日君は差し出した
未来を輝く透明を
綺麗な石を煮溶かして
濾して上澄みだけを掬って
そうして出来た透明を
ある日君は差し出した
一番綺麗な石を渡したいと
その日君は差し出した
何の色も無いその石は
私には何の価値も無いのだと
私は静かに絶望して
君を底に叩き込む
そのための呼吸をした
‹友情›
7/25/2024, 10:45:22 PM