お題:一筋の光
注意 暗いお話。謎時空。
きっと現代のようで現代でないような、
でもやっぱりあるかもしれないお話。
天使の梯子
なんて、誰が最初に言ったのだろう。
私は唇を噛み締めた。
出会ったとき、自分には無い考えを持つ君には心底驚いた。練習の無い日の過ごし方、嫌味や陰口に対する、黙する以外の対処法や、正解のない術の応用の仕方。君と会わなければ、きっと疲れを取るために外に出かけるなんて選択肢は死ぬまで出てこなかっただろう。
ある時からずっと暗雲立ち込めていた。厚い雲に覆われていた空から、日の光が熱を伝えることは無く、ずっと肌寒かった。雲間からかかる一筋の光はたしかに救いだったはずだった。
「薄明光線って硬いなぁ〜!天使の梯子、なんて呼ばれ方の方がきれいでなんかいいじゃん!」
いつかに君が教えてくれた。
背が日の光に照らされ、暖かくなるのを感じる。
やめてくれ、かからないでくれ。
天使が降りてくるはしごなど要らない。君を連れて言ってしまうなら、尚更。
涙に濡れた君は、微笑んで、
「 」
怨敵は打ち破られた。味方の勝利の咆哮が荒れ果てた地に響く。
私の腕の中は、それはとてもとても静かなものだった。
11/5/2022, 11:22:26 AM