Rei

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[ガラスの華]

手を出したら壊れてしまいそうなガラスの華。
彼女にぴったりの華だろう。薔薇が似合うのはもちろんだがそれよりも鈴蘭とか小さくて可憐な花が似合う。
「るーちゃん!こっちこっち」
手招きして案内されたのは彼女の豪邸の庭。小さいときから知ってる私たちは良くこの庭でお喋りをする。
「るーちゃん、私ねもうすぐ猫になるの」
唐突に彼女が言った。
「どういうこと?遥、犬派じゃなかった?」
話している間も彼女の手は花冠を編んでいる。
「んー、そうなんだけどね 。でも、もうすぐだからるーちゃんにこれをあげる」編む手を止めてポケットから小さな液体が入った瓶をだした。
「なぁに?これ」
「これはね香水だよ、こうやってふるの」彼女は瓶の蓋を押す。ふわっと広がる香りは彼女そのものの匂いだ。「この匂い、好きだなぁ。遥の匂いがする」彼女は少し儚く笑うと私に編み終えた花冠を乗せた。「これで、私を思い出してね」

数日後、彼女が亡くなり猫になるの意味を知った。

6/26/2024, 9:58:59 AM