荷物を運び出され、がらんどうになった室内を見渡した。
日焼けした窓際のフローリング、ポスターの跡が薄っすらとついた白い壁。
ちょっとだけ邪魔だったキッチンとの間仕切り、古めかしい銀色のシンクとIHの卓上コンロ。
たった数年住んでいただけなのに、少しだけ離れ難く思うのは、何でなんだろうな。
ギイギイと軋む音のする、慣れ親しんだドアを開ける。
今までありがとうございました。
部屋に向かって深々と頭を下げてから、ゆっくりとドアを閉じた。
テーマ「哀愁をそそる」
11/5/2023, 7:09:01 AM