私は貴方様の事を
密かにお慕いしておりました。
ですが最近、気付いたのです。
私は貴方様の事を私は神だと思えないんです。
貴方様はただの人間、そこが堪らなく愛おしいのです。
私どもに隠れて泣いていた夜を私は見ていました。
そして私は、神としての貴方様に失望し、
人間としての貴方様に対して、
どうしようもない恋心を抱いてしまったのです。
あぁ、なんて私は愚か。
でもしょうがない事なのです。
愛は止められません。
皆に優しい貴方様を見る度に、
あの夜を思い出すのです。
密かに興奮してしまいます。
私だけが知っている。
私だけが……。
優越感に浸るこの幸福と恋心。
貴方様の声を聞くと、あの泣き声を思い出します。
ですが、最近、貴方様の様子がおかしいですよね。
貴方様は人間に戻ろうとしていますよね。
普通の暮らしを、
普通の恋愛を、
普通の人間になろうと。
そんなの、許しません。
貴方様は、腐っても、私だけの神なのです。
貴方様が普通の人間ではないのに、神を演じようとする姿。私はそこが好きなのです。
いや、貴方様じゃありません。
普通になろうとするなんて。
貴方様には考えられない。
もしかして、あの女のせいですか?
最近、貴方様の人間の心臓が高まっているのは、
彼奴のせいなのですか?
あの女が誑かしたんですか?
可哀想。
可哀想な、お人。
私が救ってあげなければ。
教会に、私は貴方様の悪評をばら撒き、
あの女にも悪評をばらまく。
そうしたら徐々に皆、離れていった。
しかも笑えるのが、あの女、
誰より先に離れていったの。
やはり、真実の愛は、あそこにはなかった!!
そう私は歓喜した。
ある日、私しか教会に来なかった日を作った。
貴方様は相変わらず、優しい笑顔で、
神として微笑みかける。
なんて矛盾した人間……!美しい!
でも、私の心を誑かした彼女、いや、貴方様はきっと、
魔女なのです。
魔女は、火あぶりの刑にでも、処さなけば。
私は貴方様を縛る。
次は神として生まれられるといいですね……。
そう耳元で囁き、
貴方様を燃やす。私も燃やす。
炎が私の体を包む。
あぁ、心中とはこんなに幸福なのですか。
奇跡よ、もう一度起こるなら……。
もっと私たちを苦しめてください……。
私たちを跡形もなく燃やし尽くして、
永遠に魂を閉じ込めてください。
2人だけの宗教を作りたいのです。
10/2/2024, 1:40:05 PM