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『冬休み』

そういえば、良いお年をって言うの、忘れてた。
駅のホームで電車を待っているとき、ふと思った。そんな大したことじゃない。明日から冬休みなんて言ったって、どうせ連絡は取り合う。きっと、たぶん。
クリスマスも過ぎて、もう年末だなんて、正直信じられない。まだ年が明けてから数週間しか経っていないように思う。あの日から1年経つのか、としみじみ思ってしまう。いけない、そういうことを考え始めると、二度と戻って来れなくなる。私の思い出は鮮やかすぎる。こんなに冷たい、まるで氷に包まれた一色の世界に、いくつもの極彩色を散らす。そのせいで、夜はいっそう寂しくなる。思い出も幻想なんじゃないかと思ってしまう。存在しない記憶が、思い出として残っているように感じているだけなんじゃないか。そんなの、悲しい。

言うの忘れてた!良いお年をー!

通知が降ってきた。それは、私の好きな人。今年、1番初めに私に「あけましておめでとう」と連絡をくれた人。冬休みで楽しみなことなんて、それくらいだ。あとは、もう、過ぎ行く思い出と、薄れ行く記憶を繋ぎ止めようと必死になるだけで、だから、だから、冬休みなんていらないの。
あなたに毎日会いたいの。

12/28/2024, 1:19:04 PM