『救うためなら』
「ねぇ、過去に戻りたいと思わない?」
目の前にいきなり現れた女の人はそう言った。この世のものとは思えないぐらい綺麗で、まるでゲームの中から出てきたみたいだ。
「過去に戻る…?何を言っているんですか?それに、貴方は……」
「私のことなんてどーでもいいじゃん。そ・れ・よ・り、戻るの?戻らないの?」
女の人は首を傾げ、そう僕に尋ねる。
過去に戻るって言ったって、どうやって……
そんな僕の思考を読んだかのように、彼女はニッと笑った。
「それはまっかせて!」
彼女がそう言いパチンと指を鳴らすと、どこからともなく大きな機会が彼女の後ろに現れた。目を見開く僕に得意げに笑う彼女。
「じゃっじゃーん!!今、君の目の前にあるのはタイムマシーンだよ!」
「タイム、マシーン?」
タイムマシーンなんて本当に存在したんだ……。そう呆然としていると、彼女が囁く。
「救いたい人がいるんじゃない?」
はっと息を飲む。
「どうして…それを…」
彼女はクスクスと笑うだけで答えてはくれなかった。
僕を庇って死んでしまった彼。もっと話したかった、もっと貴方のことを知りたかった。……もっと彼のことを信じていればよかった。そんな後悔がずっと心の中にある。
ポケットの中に手を入れると、彼が僕に託してくれたアイテムが入っていた。
「……本当に、救えるんですか」
そう問うと、彼女は僕を指さす。彼女の指が僕の胸に触れた。
「それは君次第だよ。君が頑張れば救えるし、何にもしなかったら変わらない。……あ、それとタイムマシーンを使う為には代償が必要なんだ」
「代償?」
「そう、例えば……」
僕の胸に触れていた指が上がっていき、僕の目の前で止まる。本当に、目の、前で。
「君のその目とか」
代償として目を差し出せということか……。目がなくなってしまったら、僕の夢はもう叶うことはないだろう。でも、それでも良かった。彼を救えるなら。
その決意を話すと彼女は嬉しそうに笑い、僕に手のひらを差し出した。
「交渉成立だね。じゃあ、行こうか」
悪魔の導きにも見えるその手を僕はしっかりと握った。
【タイムマシーン】
1/23/2026, 7:22:52 AM