“音速の貴公子”アイルトン・セナ。
3度のワールドチャンピオンに輝いた比類なきF1ドライバーの彼は、30年前の今日、34歳の若さでレース中に事故死した。
岡山の国際サーキットでパシフィックグランプリを走ってからわずか2週間後のことだった。
セナが泊まった温泉地湯郷の旅館には、いまも100点を超える写真が展示されている。ながい月日で色あせてしまっていたけれど、このたびデジタル復元によって当時の美しさを取り戻したそう。
旅館スタッフに囲まれ、左手をポケットに入れて悠々と歩く姿はカッコいいのひと言に尽きる。
残念ながら、F1マシンの速度を私が体感することはない。同じように、1万メートルの深海も、アポロ宇宙船の寒さも知ることはできない。辿り着けないそこは私にとって“楽園”と同義だ。
「生きるならば、完全な、そして強烈な人生を送りたい。僕はそういう人間だ。事故で死ぬなら、一瞬のうちに死にたい」
時速370キロとも言われるF1の最高速度。敬虔なカトリック教徒のセナはレース後、「(カーブを走っている時)神を見た」とコメントしたことがある。
ある意味、楽園を垣間見たということか。
(楽園)
5/1/2024, 9:58:38 AM