「…誰ですか」
目の前にいるのは、知らないヒト。
他人っていうか、自分。
そう、なんだけど。なんか違う。
俺じゃない。外見は一緒。絶対に俺、なはずなのに。
俺の本能が、コイツには近づくなと警告を鳴らす。
「…キミだよ」
口角を上げて、ほほ笑む。その下手な笑顔が気色悪い。
こんな顔、俺はしない。
「なわけないだろ。俺はここにいる」
俺のコイツの間には、よくわからない壁がある。透明だし、違和感もなにもないけど、触れられない。なんかの境だろうか。
「キミは俺だ。俺はキミ。それでわかる?」
くびをこてんと傾けて、そう語りかけられる。
「わかんねーし。お前は俺じゃない」
「そっか。まあ、今度わかるよ」
そう言って、消えた。
5/17/2025, 2:25:05 PM