駒月

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『キャンドル』 


 ゆらゆら、ゆら。
 揺らめくキャンドルの小さな火を眺めていた。きっと私は生まれる前の遠い昔から、火が好きだった。
 夢で見たから間違いない。私の夢は一度で終わらない……まるでもうひとつの人生のように夢は毎日続いているから。

 夢の中で焚き火をしていた。大好きな人と他愛もない会話をしながら、魚なんか焼いて食べて……寝る時は寄り添って夜を明かしていた。
 火はあたたかくて好き。ぱちぱちと心地よい音で私は眠りに引き込まれていく。

 夢で眠ると目が覚める。どうやらうたた寝をしていたみたい。キャンドルに灯った火はまだ消えていない。

「キャンドル、買いに行こうかな」

 だいぶ小さくなってしまっていた。もうすぐクリスマスシーズンだし、かわいいグラスも沢山出ているかもしれない。
 夢の中の大好きな人は結局誰なのか、いつもわからない。続きが気になるから毎日のキャンドルはやめられない……なんて。

「誰にも言えないよねぇ」

 わからないじゃない、いつか会えるかもしれないし?
 期待を胸に、今日はそっと火を消した。


11/19/2023, 12:56:13 PM