いぐあな

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300字小説

送り人

 仮想空間の高校のクラスメイトから招待メールが届く。
「この学校のある空間が今度のアップデートで消去されるんだ」
 久しぶりに女子高生アバターで訪れた私を男子高校生アバターの彼が迎える。空間はところどころが抜け落ち、黒一色に変わっている。
「この世界の終わりに君とまた会えて嬉しかったよ」

『この前は招待ありがとう。私は今はこの大学のキャンパス空間にいるから今度遊びに来て』
 私の招待メールに彼の両親から返事がくる。難病を患っていた彼は卒業してすぐに亡くなっていた、
『ネットのIDデータは全て削除したのですが、あの空間のアバターは消せなくて。あの子はいつも貴女の話ばかりで……見送ってくれてありがとうございました』

お題「世界の終わりに君と」

6/7/2024, 11:44:29 AM