題 忘れられないいつまでも
私はいつもどうしていいか分からなくて途方にくれる。
いつまでもいつまでも忘れられないから。
もう成人してしばらくたつのに・・・。
中学の時に付き合っていた彼が忘れられない。
ふとした時に顔が浮かんでくる。
その度に首を振って記憶から消そうとする。
だって、もう何年前のことなんだろう?
今考えてどうするの?
付き合えるわけじゃない。
考えてどうにかなる訳じゃない。
だったら、何も考えないほうが楽だから。
考えれば切なくなって、どうしようもなくなってしまう。
私はどうしたらいいんだろう・・・。
そんなふうに八方塞がりの日々を送ってたある日。
同窓会のお知らせが届いた。
元彼が来るかもしれない・・・。
そう思って、私は会に参加することにした。
当日、みんなで集まって居酒屋で乾杯してると、元彼が遅れてやってきた。
そのまま、入口近くにいた私の横の空席に座る。
「久しぶり!」
「う、うん・・・」
私を見て、声をかけてくる元彼。
記憶の中の彼よりかっこよくなっていた。
私はどうしていいかわからなくてドギマギするばかりだ。
「元気だった?」
と彼。人懐っこい笑顔。
思い出した。わりと人見知りな私は、後ろの席だった元彼とよく話してた。というか、彼が話しかけてくれてた。
だから、私は彼が好きになって、彼から付き合う?って言ってくれて付き合ったんだ。
別れた理由は、違うクラスになって、声かけるのためらってしまって・・・自然消滅。
元彼と話してると、楽しい気持ちが蘇ってくる。
沢山話したいっていう気持ちになる。
「変わらないんだな」
元彼は私の事を頬杖をついてじっと見た。
「え?何が?」
じっと見られてドキッとする。
「優子が。顔変わんないし、笑顔が可愛いとこも変わってない」
「えっ!」
私は元カレを見る。
「・・・酔ってる?」
「酔ってないよ!なのにさ、優子、違うクラスになってから避けだしたじゃん?結構ショックだったんだぞ」
「えっ、避けたんじゃないよっ、違うクラスだから、声かけづらかっただけだよ!」
私は慌てて弁解する。
「え?そうなの?それで振られたと思ってたよ、俺・・・」
元彼のその言葉に、私は激しく首を降る
「そんなことないっ!というか声かけてくれたら良かったじゃない」
私が逆に元彼に言うと、元彼はふいと視線を反らした。
「・・・だって嫌われてたらと思ったら声かけるの怖かったんだよ・・・」
「そ・・・なの」
沈黙
え?じゃあ、お互い好きだったってこと?
自然消滅じゃ・・・。
でも今はさすがに彼女いるよね?
でも・・・今しか・・・。
「あのさっ!」
「あのっ!」
私と、元彼は同時に話し出す。
そして、あ、という顔でお互いに顔を見合わせた。
「何?優子」
「そっちこそ・・・」
私が言い出しづらくてそう言うと、元彼は、強張った顔で言う。
「じゃあ・・・今度どっか遊びに行かない?・・・彼氏とかいる?」
「いない!いいよ!!」
私は元彼の言葉に即座に頷いた。
「良かった・・・」
元彼のホッとして笑顔を見て、私も思わず笑顔になる。
ずっと忘れてなくて良かった。
今日、ここにこれて良かった。
体中が幸福感で満たされている。
私は、元彼・・・ではなく彼氏と笑顔で、遊びに行く場所の相談を始めたのだった。
5/9/2024, 11:21:08 AM