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「運命ってのは、最初から決まってるんだよ」
 それは彼女の口癖だった。彼女はいつも達観していて、どこか遠くを見据える瞳で、なにがあってもそんなことを言った。
「私の親が死んだことも、私がいじめられてたことも、君が私に興味を持ってしまったことも、私達が付き合ったことも。全部、全部ね」
「……じゃあ、そのあとは? 私達、どうなるの?」
「──知りたい?」
 彼女はひどく寂しそうに笑った。その笑みに、言葉に、嫌な予感だけを覚えたから、私は緩やかに首を振って拒絶した。──きっと離れてしまうのだ。これだけあなたが好きなのに。これだけ愛し合っているのに。そうでなければ、その笑みに理由はつかなかった。
 せめて、終わりの時までは。この愛しい時間がいつか消えてなくなってしまうまでは。精一杯彼女を愛そうと決めて、そして。


 ──あなたは、純白の汚れないドレスを纏って、私の横で笑っている。


「──ねえ。私達が結婚することも、運命で決まってた?」
「もちろん。──君が、私達のミライを知りたがったときからね!」

8/7/2023, 4:15:57 PM