「君だけのメロディ」
僕は君のピアノが好きだった
初めて音楽室で聞いた時一瞬にして心を奪われた
そこから君を見ると目で追いかけるようになっていた
それに気づいた君は声をかけてくれた
「君、ピアノ好きなの?」
「す、すきです!」
咄嗟に言ってしまった
ピアノには微塵も興味が無い
僕は彼女のピアノのメロディが好きだ
そこから話すようになっていった
君のピアノを聴きながら勉強するのが好きだった
彼女が余命3ヶ月と知った時は絶望した
彼女のピアノが聴けなくなると思ってしまった
そして彼女が病院で過ごすようになってから
放課後毎日通った
ピアノの音はなく静かで
話しているだけだった
3ヶ月後
彼女は多くの人に看取られながら
眠り姫のように永眠してしまった
ふと彼女の心電図を見てみると
彼女だけのメロディを生み出していた
「嗚呼やっぱり君のメロディが好きだ」
6/13/2025, 10:22:29 AM