歯牙ない読者

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 私は無意識のうちに、幾度も過去に起きた事柄について、思い返す事がしばしばある。その度に、自身の人格の未熟さを自覚しては悄気返り、嫌悪し、羞恥の挙句に奇声を発するという事が、(これは甚だ情けない事だが)そうせずにはいられない。更に言えば、性(たち)の悪いことに、自身のその一つ一つの所作や行いに、身を以て嫌悪の眼差しを向けているにも拘わらず、その事について何の対応も練らない、無関心でいるその態度にも、憤りにも似た腹立たしさと同時に、果てしない虚しさを渋々と禁じ得ない。
 何時の日か、感情を表に出す事を躊躇うようになった。刹那的な高揚を避け、無感情に努める事が追想癖のある私には、良いように思われた。感情に揺れ動かされ、自身の浅ましい行いの後を振り返る時が、情けなく、恥ずかしいのである。二十歳にもなって、子供のようにガヤガヤとした/血気溢れんばかりの態度は、この歳になっては似つかわしく、寧ろ、味気無い素振りや沈着な態度が相応しいのではないか(無論、そうでない人はそれで良い。寧ろ、そのような性格は尊重されるべきである。何も、二十歳の人間はこうなるべきだとか、私のような人格こそ至高であるとか、そんな事を言いたいのではない。私は、このような性情であるから、上記のような態度こそ、私が以て振る舞うべき態度であろうと、そう思うに過ぎない)。

12/16/2023, 10:39:59 PM