ふらわー。

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些細なことでも

コオロギの高い鳴き声と、風で揺れる草葉の音。
ふと、思う。冷たい風があっているような気がする。少し寒い。
瞳を開けてみると、カーテンがゆらゆらと揺れている。
「…」
早朝、2時半。
君は僕の近くの椅子に座ったまま、小さな寝息を立てながら寝ていた。
「みなと、満月だよ」
起きない君に僕は語り続けた。
「…月が綺麗ですね」
僕は微笑んだ。
ちょっとおかしくなったけど。


君は、この意味知らないかな。
たぶん、知らないだろうなぁ…。
「いつか気づいてね」
そして、僕は瞳を閉じた。僕の最後である夜の月はとても美しかった。

みなとver.
「青羽…、」
僕は高校2年生になり、初めて知った。
夏目漱石由来の、月が綺麗ですね、の意味。

「届いたよ…ちゃんと、届いた……ッ」
君が死ぬ直前、少しだけ、ぼんやりとだけ、覚えている。「月が綺麗ですね」って、青羽が言ってた。
「僕もだよ…だからまた目を覚まして……ッ!…僕は……僕はぁッ!!」

君にとっては、些細なことなんだろう。
たぶん、叶わない恋と思っていたんだろうから。

「僕にとってはッ!…」



大切な思い出なんだ…。胸が締め付けられるけど、君が僕を愛してくれていたのだから。

9/3/2024, 10:32:02 AM