羽根のような軽るさの白い和毛を、両の掌で包み込んだあの日。
全身の毛をホワホワに逆立てながら、テーブルの上でピャーピャーと鳴いていた君。
皿に入れてやったカリカリをガツガツ食べ、すやすや眠り、思わず笑ってしまったくらい立派なモノをひねり出した君。
庭に飛び出て鳥を追っかける君を、裸足で追いかけたこともあった。
風呂に豪快にダイブして、ブクブク沈んでいく君の首根っこを、慌てて掴んで救出したこともあった。
一つ、年を取るたびに大人になっていく君に、少しだけ寂しくなる。
寝ている時間が多くなった君と一緒に寝そべり、そっと平たい背を撫ぜた。
ほんのりと冷たい滑らかな背を何往復かすると、君は全身を目一杯伸ばして、腹を上にしながら丸まってゴロゴロと喉を鳴らした。
両腕いっぱいに育った、ずっしりと重い君を抱きしめるたびに思い出す。
あの日、掌に感じた、小さいながらも力強い温もりと生命の鼓動を。
テーマ「My Heart」
3/27/2023, 1:53:13 PM