イブリ学校

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まっ黒の部屋
月がボヤボヤゆらゆら
「誰かいるの?」
返事は時計だけ
毛布にまるまってじっとしなくちゃ
目をつむって死んだふりをした

ポチャン
目を薄く開けると青だった
花びらみたいにカチカチゆらゆら
落ちていく止まらない
「誰かいないの?」
まるまるのトゲトゲが僕を覗く
「二枚の君どこ行くの?」
僕は分からない
どこへ行くのか
どこへ行けばいいのか
僕の口からは泡しかでなかった
「安心して、少しだけついて行ってあげる」
まるトゲはそう言って一緒に沈んでくれた
青はヒエヒエなのにまるとげはポカポカだった

まるトゲといっぱい話した
プヨプヨとカチカチなのに
まるとげは僕の気持ちがわかった
僕も段々とまるトゲの気持ちがわかった
まるトゲと一緒にゆらゆら
ずっと一緒にいたかった
まるとげは言った
「ごめん、この先は行けない潰れちゃうから」
「やだ行かないで、僕を連れてって。黒は嫌だよ、君とずっと青を旅したい」
「僕もさ。でも君に必要なものは僕はあげられないんだ。」
僕は虚しい泡を吹きながら遠くなるまるトゲを見つめ続けた
「君のこと絶対に忘れない。お話してくれてありがとう。」
そう言ってまるトゲは見えなくなるまで僕にヒレを振り続けた。

ヒエヒエで真っ暗
僕は潰れてしまいそうなほどギュッと体を閉じた。
一人ぼっちで誰にも知られず朽ちていく
枯れ葉みたいに
ヒラヒラゆらゆら
ギョロギョロがソロリソロリ
ギザギザがパクパク
月があった、いつもよりもずっとふらふらゆらゆら
僕は絶対に泡を出さないように死んだふりをした

ボスン
僕は真っ黒な惑星に不時着した
何も見えない
でもフカフカだった
フカフカに潜ると毛布みたいで安心した
オフトンからアワアワを出していると
スヤスヤしてきた
まるトゲは今どこだろうこの上にいるのかな
僕はまるトゲに最後言えなかった言葉があった
言えばよかったと悲しくなった
いつかまた会えるようにと蓋を合わせお願いした後
泡に言葉を込めて吹き出した
「僕の方こそありがとう」
僕はスヤスヤになった。









11/2/2023, 3:50:40 PM