アクリル

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仲間


アレルギーのようなものだった
行き交う二足歩行の有象無象が
人間かどうかも怪しかった
けれど憧れていた
憎らしい考えだとは思っていた
どうしようもなかった
誰よりも憧れていたから。

「お前のことなんか誰も相手にしてないよ」
「誰もお前のことなんか助けちゃくれない」
「人を頼るな、全部自分でやるんだよ」

当然のように思える価値観と言葉こそ
見えない重荷と足枷になるなんて
教わっていない
背負う、とはこういうことか、なんて
大人ぶって納得したあの日から
ぼんやりと喜んだり、絶望したりしながら
歩いてきたのだ

表情筋は引き攣って、もう一歩も前に出ない
いつの間にか肩まで外れそうになって
愚かな脳はやっと気付く
情けない独り言

「もういいかなぁ?」

返事なんて無いのがこの世界だ
地球なんてそんなもの
自分で決めるんだよね
知ってるよ、それは教わったから

名前も顔も知らない奴らが
楽しげにしているのを見て
無理解だけが湧き上がっていた
捉え方が全てらしい
それも知ってるよ

私が、私のまま意思を発する事が
怖くてたまらない
そこから構築される信頼とやらが怖い
出会いも別れも、相性が云々にも怯えている
そのままでは始まらない
それも知っている

怖いから、散々怖がった
怖いまま、半べそのまま
私が、私のまま発しようと思った
知らない人と挨拶する親の後ろへ
必死に隠れる幼児のように

「はじめまして」

12/11/2024, 8:26:54 AM