ソファに座って、ページをめくる。
手には薄い絵本。
彼女は柔らかく微笑みながら、ゆっくりめくっていた。
「それ、お気に入り?」
恋人の青年が隣に座るって、彼女の肩に頭を乗せた。
「はい。社長からもらったのですが、なんか好きで……」
「読み聞かせてほしいな〜」
珍しいなと、彼女は思う。
肩に頭を乗せることも、読んで欲しいと言うことも。
でも、それが彼女には嬉しくて、胸が暖かくなる。
「仕方がないですねぇ」
そう言いながら、青年に向けて身体を傾ける。すると、青年は改めて肩に頭を乗せた。
ふふっと笑みがこぼれる。
そして、本を最初に戻すと、甘やかな声が部屋に響いた。
おわり
お題:好きな本
6/15/2024, 12:12:33 PM