物憂げな空
外は雨が降っている。
「弁当忘れても傘忘れるな」
この地域の人たちが教えてくれた言葉だ。
朝の青空が、昼には雨に変わる。
天気がとても変わりやすいから、傘だけは忘れないように、と。
九州生まれの私が北陸に来て、五年が経つ。
だが冬の天気には、どうしても馴染めない。
何日も続く雨で洗濯物は乾かず、夜は鳴り響く雷に眠れない。
まれに雨の降らない日があると、この地域の人は「晴れた」と喜ぶ。
たとえ太陽が、分厚い雲に覆われていても。
こんな日は、生理前の身体を思い起こさせる。
泥沼に浸ったように重だるく、頭の奥には薄い霧がかかっている。
物憂げな空。
今年もそんな季節がやってきたのだ。
息をつき窓を開けると、絶望的に分厚い雲が、流されることなく空に居座っている。
それでも私は、いつもと何かが違う気がして、じっと空を見つめた。
何かが、違っている。
そうだ、雲の切れ間から、
細い細い一筋の光が差し込んでいるのだ。
きっと、これまでも差し込んでいたのだろう。
でも分厚い雲しか、降り続く雨しか、
私には見えていなかったのだ。
それでも今は、はっきりと見える。
空と陸とを結ぶ、一筋の光が。
2/25/2026, 12:55:48 PM