小絲さなこ

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「遠距離恋愛もうすぐ三年」


ホームの階段を駆け上りそうになる。
改札口は、ひとつ。
忙しいだろうから迎えはいらないって言っているのに、彼はいつも改札口まで迎えに来てくれる。

東京よりも低い気温。
頬がぴりりとする。
改札口を出て、見慣れたコートに駆け寄ると、挨拶よりも先に抱きしめられた。

六年間の予定の遠距離恋愛も、もうすぐ三年。
あと半分。

これからの三年間、彼はもっと忙しくなる。
今までみたいに、東京に会いに来る時間も無くなってしまうかもしれない。
だけど大丈夫。あと半分。
彼が東京に来られないのなら、私がこの街に来ればいいだけ。

澄んだ空は真っ青。
バスには乗らない。
徒歩一時間の道を手を繋いで歩いていく。



────あなたのもとへ

1/16/2025, 7:35:26 AM