音で読めばシュンプウ、訓で読めばはるかぜ、季語で言えば、東風、花菜風、柳風など、色々の春風が日本各地を吹き抜けている。
昨日、今日と、寒の戻り、花冷えに、特に宵の時分は、春の装いでは寒さが肌に染み渡ってきた。つい先ほど、道を歩いていたら、街灯の明かりに照らされ、雪柳が寒そうに静かに揺れていた。そのすぐそばの道際に、しなびた椿が一つ二つ、無惨に転がって落ちていた。
訪日観光客、移住者の数は鰻登りに増え、日本は今、オーバーツーリズムなどの問題に悩まされている。日本を訪れる人々には、私は、日本の花鳥風月、季というものを知って欲しいと思う。日本の花鳥風月、季というものは、尊重してくれと言ってそれを強いる類のものではないと私は思う。住めば、耳を澄ませば、目を開けば、香りを嗅げば、知れば、感じれば、自ずから大切にしようという気にさせてくれるのが、日本の花鳥風月、季の特長である。
政治は政治でやることがあるのだろう。文芸は文芸でやることがあるのだろう。私はいったい、何が出来るだろう。少なくとも、ただ排他の精神で外国からやってくる人々に接したくはない。春風のようにうららかに人々を包み込めるような人物でいたいと私は思う。
3/30/2025, 12:49:59 PM