Ryu

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春が来て、桜が咲き乱れ、街は活気づいて賑やかさを増してゆく。
目に映える青空や爽やかな風に誘われて、人々が外の世界に足を向け、笑顔が満ち溢れる季節だ。

そしてそれは、悩み事を抱えづらい季節でもある。
決してこの季節に悩み事が消えて無くなる訳でもなく、状況は何ひとつ変わっていないにもかかわらず、この陽気にほだされて、なんだか人生は楽しいと錯覚してしまう、今日この頃。

まあ、春爛漫の光景を目の前にすれば、それも致し方のないこと。
この雰囲気に飲まれるのが正解なんだろう、日本人としては。
正直、一年に一度必ず咲く花が今年も咲いたとて、いったい何がめでたいのかって話だが、桜咲き乱れるニッポンの風物詩は、きっと世界に誇れる景色と言えるのだろう。

それならば、このお祭りムードに乗じて、些細な悩みなんか吹き飛ばしてしまえばいいのだが、それは一時的なものであって、さすがの桜にもそこまでの力はない。
いずれ花は散り、当たり前の日常が訪れる。
それは思いのほか早く、一度手放した分だけ、悩み事はさらに大きく、増幅されてのしかかってくる。

桜に惑わされている訳だ。
春爛漫の桜には、人を惑わせる力がある。
花見の人達に溢れる公園で、明日の糧を渇望し続けるのは難しい。
何もかもがどうにかなるさで飲めや歌えや。
夢から覚めて、気付けばそこは茨の道か。

それでも、また来年も桜は咲くのだろう。
そしてまた、人生に彩りを与えてくれるのだろう。
儚い宴だとしても、これがあるから人は営み続けられるのかもしれない。

そんなことを思う。
早すぎる花見の酔客を眺めつつ。

3/28/2025, 2:30:28 AM