【…⸺だから、待ってろ。約束だ】
「⸺…嘘つき、もうすぐ十年経つよ。なに、やってるのさ……馬鹿」
いつまで待っても、彼は来ない。
嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき。
だけど、死ぬのは怖い。
彼がいないから、上手く死ねるか分からない。
⸺それでも。
彼が死んでたら、また会える。
本当?本当?本当?
でも、死んだら私の全て、無くなる。
彼を全部知ってる私が居なくなったら、記憶の彼が死ぬ。
⸺そうだとしても。
身体が宙に浮く。椅子が倒れた。
呼吸の道が、狭くなる。苦しい、でも…これじゃない。
視界が黒くなり始める。もう少し、もう少しだ。
「(バイバイ、私)」
6/3/2025, 2:46:05 PM