キャンドルは灯される。暗い部屋の中を、弱い灯りが照らす。
薄暗いなか、何も無い部屋を照らしている。
その部屋には何も無い。ただキャンドルの灯りのみ。
その部屋の中央に彼は座り、静かに目を閉じる。
瞑想するために、そのためだけに何も無い部屋を借りた。
余計な物に気を紛らわされたくなかったから。
目を閉じて集中する。自分の呼吸に。4秒かけて息を吸い、2秒止めてから、4秒以上かけて息を吐く。ただそれを繰り返す。
彼は集中する。呼吸をすることに。全神経を向けている。現在(いま)を感じることに。現在(いま)に集中する。
意識を彷徨わせてはならない。すでに起きた過去に思いを向けない。
意識を彷徨わせてはならない。これから起きるであろう無限の未来に思いを向けない。
ただ、意識をここに、ここにある現在(いま)へと向ける。それが瞑想。
やがて、一迅の風が入り込み、キャンドルの灯りが消される。それでもなお、彼は瞑想を続けている。
いつまで続くのか。それは誰にも分からないーー。
11/19/2024, 11:26:59 AM