麦わら帽子
「でさー!わたし大爆笑しちゃったワケ!!ウケるでしょー」
「はいはいよかったねー。風強いし早く帰るよ」
……前に僕の苦手なタイプの方がっ、な、並んで歩いている……通れない……
「てかヤヴァイね風ー」
「なんでこんな時間になるまで買い物すんの?」
「折角給料入ったんだから当然でしょ!」
で、も……言えるわけがない……!!僕みたいな奴が声をかけていいような方たちでは絶対ないし、な、なによりなんだコイツ。って思われるのが一番怖い……
「あヤベ、帽子飛んだ」
「はっ!?なんでそんな呑気なの!?後ろに人でもいたら……あっ」
「あれま」
……取ってしまった、僕とほど遠いキラキラした方のキラキラしたかわいらしい麦わら帽子を……
とりあえず、謝ろう。そうしよう……
「……あっ、あの、すみませ」
「キミっっっ!!!ナァイッス!!!そうキミだよ!!なんか焦ってる顔してる感じだけど!!最高!!!ありがとね!!」
「は、はい」
「やめな?その距離の詰め方」
お、思っていたのと違う反応をいただいてびっくりした……優しい……?
「えー嬉しいんだもん。ヤバいな、嬉しすぎる。奇跡だよねコレ!」
「そうだねー。……あっ、ごめんね!これがおっきな声出してて」
「い、え、よかったです……」
なんだろう、僕も嬉しい……
「へへへへ〜てか違う学校なんね。どこ高?」
「やめろって、怖がってる」
………………や、やっぱ怖い……
8/11/2023, 12:50:23 PM