白いコットン

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風鈴の音を聞きながら、縁側で静かに

椅子に揺られながら座っている。


背中に太陽の日差しを受けながら、日焼けした笑顔の

彼が ( ただいま…!) と玄関に立っている。

( お帰りなさい… ! おかえりなさい!)

彼に向かって走り寄る。。


チリ〜ン。。。

風鈴の音で、ふと気がつく。

あ… 何回目だろう、この夢…。


そろそろ夕ご飯の用意をと、台所へ行く。

ふと玄関の方から「 … … ぃま…」と声が聞こえた

ような気がした。誰か…来たのかしら? 行ってみる

が、誰もいない。

あ… 隙間風の音…? 


台所に戻り、料理の続きを始める。

しばらくすると「 ただいま… 」不意に耳元で声が。

驚いて振り返るが、やはり誰もいない。

疲れのせい? 気のせい… ? 何となく少し寂しく

手を動かす。


本当は、気のせいなんかじゃ… ないのかも、、



出征して、何年目かの夏だった。


              〈 ただいま、夏 〉

8/4/2025, 10:24:06 AM