恋愛成就ののぼりを見た君は複雑な表情を浮かべた。二人で神社なんて初めてのことだった。戸惑いを隠せない君を盗み見するのはちょっと楽しい。僕が神社に行こうと言ったのが意外だったとか、今の関係に何か不満があるのかとか、すごく悩んでいる。何度も躊躇った挙句、口を開いたのは拝殿に到着しようという頃だ。「……神様にお願いする前に、まず私に言って欲しいんだけど」
僕は小さく笑った。率直な言葉が君らしいと思った。
「わかってるよ。これはお礼参り」
「お礼参り?」
「1年前、君と出会えるようここでお願いしたからね」
「……そういうのは先に言って」
叩こうとする君の手をひょいと避けて、僕は手を合わせる。パタパタと足音が隣に並ぶ。1年前と違うのは、隣に君が立っていることだ。
僕は心の中で感謝し、末永い未来を誓う。
6/17/2023, 6:39:15 AM