「あークラゲが飛んでるー」
道を歩いいたら小さな子どもが空を指さした
見るとスーパーのビニール袋が風に身をまかてフラフラと飛んでいる
いや
よく見るとあれはゲイラカイトだ
小さな頃兄貴が買って貰っていて、それは羨ましかった外来種の凧
やっこ凧なんかとは一線を画した、黒や白の三角に模様の入ったビニール製の洋凧は
小学校でも持っている子どもは少なかった
子どものお小遣いでは買えない値段だったそれを
スーパーの袋を代用してそれっぽいモノを作ってみては
本物の飛行とは比べ物にならないクラゲを作ったものである
風を受けて高く上がる
風に吹かれて糸をのばす
やがて伸ばしきった糸が切れ
兄貴のゲイラカイトは野生の凧になった
およそ30年の時を経て
まさかこの令和で
私の頭上に
まだ飛んでいたのだろうか
動力は風
自然の力を鼻で笑うような飛行に
私は小さな敬礼をした
5/15/2024, 3:32:32 AM