【寂しくて】
いつもより進みの遅い秒針を眺めていた。一周は同じ一分のはずなのに、永久のように感じる。これがデジタルデトックスか、なんて考えながら、返信の来ないスマートフォンを放って自分の身を布団に投げる。
四六時中君と話しているからなのか、スマホを触っているからなのか。今の時間は合理的な理由で返事が来ないと分かっていても、なんだかそわそわしてしまう。それがだんだん加速して、いたまれなくなって、心臓が輪ゴムに何重にも締め付けられるように苦しくなる。だから、私はこの時間が苦手だった。
「うーん」
また無意識にスマホを開いて、時計だけが表示されるロック画面を静かに閉じた。
寝たいな、と思う。大して眠くはない。でも、寝てしまえば、この永久の時間をスキップできるのだ。
一縷の望みをかけて目をつむってみる。
「……駄目だなあ。」
結果は残念、余計に寂しくなるだけだった。いつものおやすみの言葉。同じ布団にいた君の温かさ。柔らかな頬に落ちた長いまつ毛の影。そこから覗くつぶらな瞳。
布団に籠って、「すき」と呟いてみる。そこに居た君に宛てたのと同じ温もりで。何度も、なんども。そうしていたら、そこに君がいてくれるような気がして、体も心もふわりとあたたまってきた。
ぎゅうと抱き枕をだきしめる。いつか君を抱きしめられる日を夢みて。
「おやすみ、またあとでね」
だいすきだよ。いつでもその暖かな気持ちが私の心を動かす。
寂しくて寝るときは、特別君が好きだと認識するときだ。
11/10/2025, 1:48:24 PM