4/17「桜散る」
番号が、なかった。
ずらりと並んだ合格者の受験番号。何度たどっても、私の番号はなかった。
周りでは合格した受験生たち―――いや、もう「受験生」じゃないのか。喜びの声を上げたり、胴上げをしたり。私はそっとその場を離れた。
春風に吹かれながら遠回りして歩く帰り道、見事な桜を見かけた。風にはらはらと舞い散る花びら。
はらはらと、涙がこぼれた。
来年も頑張ろうと思えるまで、少し時間がかかりそう。
(所要時間:5分)
4/16「夢見る心」
冒険者になりたい。
この村を旅立って、仲間を見つけて。洞窟や遺跡を探索して、まだ見ぬ宝を見つけて。
魔王なんていないけど、人助けを重ねて強敵を倒して、いつか勇者と呼ばれる存在になりたい。
明日、僕は12歳になる。夢見る心は、止まらない。
(所要時間:4分)
4/15「届かぬ想い」
「にゃあ」
細く開けた窓から入ってきて、黒猫が煮干しをねだる。
すっかり居着いてくれた。ガツガツと煮干しを貪るその背中に、そっと手を伸ばす。
触れた途端、するりとすり抜け、窓に飛び乗って去っていく。
ああ、届かぬ想い。
(所要時間:4分)
4/14「神様へ」
神様
いつもお世話になっております。
常日頃見守っていただき、時に試練を与えていただき、あるいは願いを叶えていただき、大変恐縮です。
お疲れの出ませんよう、どうぞご自愛下さい。
今後とも、何卒よろしくお願い致します。
(所要時間:5分)
4/17/2024, 11:55:54 PM