流れ星に願いを(BL)
星に向かってお願いしますと言ったのは生まれてきて初めてかもしれない。宙には星が瞬き月は隠れてしまっている。
流れ星が流れた瞬間にお願いします!と大きな声を出して言ったので不審者に見えただろう。
でもこっちはそんなこと気にしてられないくらいに切羽詰まっているのだ。
「頼むよ、ほんと」
少しの涙声でそう言ってスマートフォンを取り出し、既読をつけたまま放置していたトーク画面を開く。
画面に表示されている最後の会話は『お前のこと好きなんだけど』だ。何度文面を読んでも胸がドキドキと高鳴る。男同士というのを分かっていてコイツは告白をしてきてくれた。
それならその誠意に答えなければ。
文面はもう打ってある。『俺も好き、返事遅れてごめん』ただそれだけの返事を送るのに何時間もかかっている。オマケに星に願いはじめてしまった。
よし、送ろう。と思ったところで件の彼から着信がある。驚き過ぎてスマートフォンを取り落としそうになるのをなんとか防ぎ、電話に出る。
「も、しもし?」
思わず声が上ずってしまう。
「もしもし、何してたの」
「星に願いを……いや外に出てた」
「なんだそれ、なあ、返事聞いてもいい?」
ドキリとした。
「俺も、お前のこと好き」
正直に自分の中にある思いを告げた。
「本当に?めちゃくちゃ嬉しい」
きっと顔をクシャりとさせて笑っているのだろう。俺の好きな笑顔だ。
「なんか照れるな」
と、言えば「俺も」と返ってくる。
「じゃあまた」
「うん、連絡する」
そう言って通話を切るとそのまま仰向けに地面に転がり人目もはばからず「やったー!」と叫ぶのだった。
4/25/2023, 11:04:22 PM