気分屋の鮭

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「加藤さん〜夕ご飯の時間ですよ〜」
看護師さんがトレーを持ってやってきた。
「今日は、クリスマスイブですね〜。
なんと今日はケーキがついているのですよ!」
「そうなんですね、ありがとうございます。」
ベットの上のテーブルにそれを置いてくれた。
「いつもの時間になったらまたきますね〜」
看護師がせっせと行ってしまった。
窓を見ると雪が降っている。吹雪だ。

食べ終わった食器を片付けに来てくれた。
またせっせと行ってしまった。
「なんで、この時期に入院なのかな〜」
昨日、ツルッツルの道を歩いて
見事に転んでしまい、骨折してしまった。
一様、二週間後には退院だが、
なんでこの時期に
なんでクリスマス目前で転んでしまったのだろう…。


クリスマスイブまさに今日
久しぶりに会う友人のみくとクリスマスツリーを
見に行こうと約束したのに…。
私の住んでいる街では
クリスマスイツリーのイルミネーションが
とっても有名なのだ。
毎年、この時期が近づくとチラシなので
でっかく紹介されている。


コンコンコン
「失礼しま〜す」
この声は、
「こんにちは、元気そうでよかった。」
みくだ。わざわざ見舞いに来てくれたのか。
「びっくりしたよ。骨折して入院するなんて。
年なんじゃない?」
「それだったらあなたも同じ年でしょ」
「そだねw、これ前欲しがってた小説持ってきたよ」
「ありがとう」
ありがたい、これで暇つぶしが増えた。
「本当にごめんね、今日約束していたのに」
「全然大丈夫だよ。そういえばこの方向だったよね。」
「え?」
「ツリーだよツリーもしかしたら見えるかも」
昨日この部屋に来た時は、今みたいな吹雪だった。


窓を見ると吹雪は止んでいた
「あれだ!あった!」
みくをが指を刺して子供のように喜んでいる。
私のベットからは何も見れない。
みくが写真を撮って見せてくれた。
それは本当に小さい小さい500円玉のような
ツリーだった。


「明日も会いに来るね!」
みくは行ってしまった。
病室がしんと静まる。
みくから送ってもらった写真を見返す。
小さなツリーの光が一番強い。
ここにいるよと教えてくれている感じがする。
きっと明日のクリスマス本番は
もっと強い光になるのだろう。
今は、前夜祭の夜か、

12/25/2023, 7:15:58 AM