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恋愛だとか運命だとかでよく使われる赤い糸で結ばれてるって表現、俺はあんまり好きじゃない。

今日も教室の一角で女子たちが赤い糸がどうたらこうたらと騒いでる。くだらない。そもそもなんで赤なのか。どうせ結ばれるなら好きな色が良いだろ、俺なら青とか緑とか……

「確かどっかの国で魔除けの色だったり赤い紐を使う風習があるらしいよ」

ぼーっと外を眺めてると後ろの席から声がした。どうやら思考が口に出てたらしい。

「ふーん、一応理由があったんだ。物知りだね」
「そんな事ないよ、偶々知ってただけ。理由を知ったところでくだらない事に変わりは無いしねぇ」
「女子はそういうの好きなんじゃねぇの?」
「一括りにしないでくれる?別に嫌いじゃないけど……浮ついた話題としての赤い糸には興味無いや」

興味が無いのにやたら詳しく知ってる彼女を変わったヤツだと思った。

「運命は存在すると思う。でも運命は感情に干渉出来ないとも思ってる」

だから赤い糸の話も知識や逸話として面白いとは思うけど恋愛と絡めるのは違うのだと、ここまで話してごめんと言われた。つまらない事を語ってしまって申し訳ない、と。
つまらないなんてとんでもない。俺はコイツの話に聞き入ってしまったし、なんならもっと色々詳しく掘り下げて話して欲しいとすら思っているのに。そう伝えると困ったように笑うから、本当なのにとちょっとムッとした。

「俺こんなくだらない嘘つかないよ。もっと色々聞かせてよ」



変わったヤツの面白い話をもっと沢山聞きたいと思った。
この時既に人間性に惚れていたのだと後になって気が付いた。
俺と彼女の間にあったのは何色の糸なのだろう。決して赤くないそれは今でも繋がっているだろうか。

通知の音にメッセージアプリを開くと1番上に表示されてる彼女の名前に、糸がまだ切れていないことを知った。


2023.06.30夜「赤い糸」#04

6/30/2023, 11:24:41 AM