「物憂げな空」
『物憂げな空は青色』か?
ある夏の日、めずらしく寄った図書館で
一目惚れをした。
来る日も来る日も僕は図書館に通った。
僕に話しかけられたときは少し嫌な顔をするのに絵本を読んでるときは顔が綻ぶ。青いヘアゴムをつけた。
そんな女の子。
来る日も来る日も話しかけた。
君の好きなものを少しでも知りたかったから。
君の言ったことを忘れないように。
いつしか図書館に行くと手招きをしてくれるぐらいには
仲良くなった。
だからこそ、僕と君との間の感情はちがうのだと
思ったら泣けてきた。
しかしながら気づいた頃に別れはやってくる。
君に会える最後の日。
「今日でさよならだね…僕との日々もいつも変わらない景色でいつもの本を読んでいる君にとってはいつもと同じ物憂げな空だったんだろうね。」
「そんなことないわよ。いつもよりも青いわ。
いつもと違うのはそれだけだけど。」
きみの目は涙で赤かったっけ。
彼女の好きな色は青。
僕との日々が君の好きな色で染められたのなら
とても光栄だ。
まあさよならなんて僕のついた嘘だけど。
2/25/2023, 1:44:31 PM